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オンライン 2020.4.21

オンライン・インタビューの実施状況(メディカル・リサーチ)

新型コロナウィルス感染拡大・外出自粛要請によって、今まで当たり前だった働き方と
仕事の進め方が激変しています。インデックス・アイでも、全スタッフが在宅ワークに、
対面で行っていたインタビューをオンラインにと、すべてを切り替えています。

オンライン・インタビューに完全移行してから1ヶ月、試行錯誤の中から徐々に知見も
増えてきましたので、現状でのオンライン・インタビューでできること、課題について
書きたいと思います。
※以前から、インデックス・アイは、メディカルに関わらず、日用品、耐久財、
サービス財問わず、ほとんどの定性調査が1 on1インタビューです。

1 on 1オンラインインタビューはほぼ問題なくできる

インデックス・アイは、医師、看護師、薬剤師、患者さんを対象としたメディカル系
インタビューを専用会場で1 on1の対面にて実施してきました(地方でのインタビューの
場合は、貸し会議室で実施、クライアント様にはライブストリーミングで視聴していただく)。

この1ヶ月で、オンライン・インタビューで
・医師メッセージ調査
・医師コールストリー調査
・医師トリートメントフロー調査
・医師メディカルアンメットニーズ調査
・患者さんペイシェントジャーニー調査
を行ってきましたが、ほぼ問題なく実施できています。

当初は、予定時間内に終わるか、対象者の方の集中力が続くか、それこそ対象者が
オンラインから途中退出してしまわないかなど懸念はありましたが、それらの懸念は
杞憂でした。
※デバイスのユーザービリティ調査などは物理的にオンラインでは不可能なテーマも
あります。

ディスカッションができるかがオンライン・インタビューの鍵

インデックス・アイでは、インタビュアーを外部に委託せず、全て担当スタッフが行います。
実際にオンライン・インタビューを行ってみて再認識したことは、対面インタビューでは、
対象者の目線、表情、全身のしぐさ、間、延いては醸し出す空気感など、インタビュアー
として、いかにノンバーバルな情報を駆使
していたということです。

オンライン・インタビューでは、対象者の方の表情まではかろうじて見ることができますが、
目線、全身のしぐさ、空気感は現在の技術では読み取ることはできません。

例えば、対面インタビューでは
・対象者の関心事項でないことは分かっているけど、どこまで詳細に聴取できるか
・同様な質問を繰り返すことで、本音や実態を引き出すか
・機微にかかわることも、どこまで踏み込んで聴くことが許容されるのか
などを、ノンバーバルな情報をキャッチして、その場の空気を読みながらインタビューを
進行しています。

オンライン・インタビューでは、インタビューガイド通りに進行することや、呈示物の
評価をしていただくことはほとんど問題なくても、対象者と踏み込んだディスカッションを
できるか否かが本当の課題です。今後オンライン・インタビューの経験を積むことでクリア
すべきと考えています。

事後ブリーフィング(Wrap Up)が充実する可能性

対面インタビューからオンライン・インタビューへの切替えは、事後ブリーフィング
(Wrap Up)にも影響が見られています。

対面インタビューでも、インタビュー終了後に、インタビュアーから今回の
ファインディングを、視聴してくださったクライアント様や関係者のみなさんから所感から
“気づき”を共有しています。

オンライン・インタビューになることで、更に踏み込んで問題意識の共有やネクスト・
アクションのディスカッションにつながっていることが多いように感じています。
この変化は、クライアント様も在宅ワークになることで、ミーティング機会の減少、
帰宅時間を気にしなくてよいなどの影響も考えられ、オンライン・インタビューだけの
要因ではないかもしれません。

インデックス・アイは、コーポレートミッションを「マーケティング・リサーチで
クライアント様にとっての顧客理解を、デザイン思考によるコンサルティングで
クライアント様のビジネスを前進させるご支援をしていきます」
としており、この
事後ブリーフィングの変化に可能性と手応えを感じています。

環境は何とかなる

オンライン・インタビューで何のツールを使うかは当初一番大きな悩みでした。
そのツールで実施できること、対象者・クライアント様・インデックス・アイの
3者にとってのユーザビリティ、チャットはできるのか、セキュリティ等々、
問題は山積でした。

結論から言うと、現状は完ぺきなツールはなく、既存ツールをうまく使いこなして
いくしかないということです。オンライン・インタビューで最も重要なことは、
対象者とインタビュアーの音声のクオリティです。

オンライン・インタビューの先駆者である定性維新の会代表の藤吉さまから
アドバイスをいただき、ハッと気付かせていただいたのは、
「多くの方は、会社から支給されているような高機能のPCを自宅では持っていない」
「日常的にPCのカメラやマイクを使うのは、ゲーマーやオンライン学習をしている方で
まだまだ少数派」
ということです。実際に、オンライン・インタビューにご協力いただいた方でも、
自宅にPCをお持ちでない(スマホ)、wifi環境がない、お持ちのPCにマイクや
カメラ機能がない(あるかもよく分からない)という方は少なくありませんでした。

現状インデックス・アイでは、
①対象者の方の通信環境や所有機器を事前に確認
②①でオンライン・インタビューが難しい場合、通信機能付きタブレットの貸出
③インタビュー前に事前練習(対象者のご承諾を得られた場合のみ)
で対応することで、音声の問題はほぼ発生しておりません。

緊急事態宣言による本格的な外出自粛要請が出てから、ネット回線の速度にも
影響が出ています。在宅勤務でインタビューを行っているスタッフもWi-fi機器を
新しくする、有線にするなどで対処しています。

今回は、新型コロナウィルス感染拡大によるオンライン・インタビュー移行の
黎明期で、できること、課題を書かせていただきました。収束がいつになるか
予断を許さない状況ではありますが、いわゆるアフターコロナもオンライン・
インタビューは1つのアプローチ方法として確立していくことになると思います。

次回は、メディカルではない、日用品、耐久財、サービス財について書かせて
いただきます。

最後に、オンライン・インタビューへの急激な移行に当たっては、クライアント様、
パートナー会社さんのご協力がなくしては、なし得なかったです。この場をお借り
して御礼申し上げます。

この記事を書いた人

小田 宜夫

小田 宜夫

代表取締役社長。 現在も、インタビュアー、ファシリテーター、トレーナーなど、マーケティング支援のプロフェッショナルとして、クライアント様の経営、マーケティング課題を共に悩み・考え、課題解決のお手伝いをしている。

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