デプスインタビューについて
皆様こんにちは、インデックス・アイの石川です。
2022年度の新卒として弊社に入社してから早いもので、半年が経ちました。
本日は、定性調査の手法の一つである『デスプインタビュー』について、
プロジェクトを担当させて頂く中で感じたことを交えながらお話しいたします。
■定性調査と定量調査の違い
定性調査は調査対象者の行動・態度の要因となる心理や経験について、深い理解を得るために実施します。
対象者は多くの場合少数で、母集団の中からある条件に当てはまる人を恣意的に選び出す、
有意抽出で構成されます。対象者が有意抽出で構成され、行動や態度の背景の理解を目的とすることから、
定量調査とは異なり統計学には依拠せず、定性調査では母集団のパラメータを推計することはできません。
その代わりに、定量調査では得られない質的構造の理解が可能となっています。
定性調査の中でも、デスプインタビューはある事柄について対象者に詳細に伺うために行われます。
そのため1時間以上と実査の所要時間が長い場合が多い調査手法となります。
私自身が実際に関わったインタビューでは1時間半が多かったですが、所要時間は調査の目的・課題に応じて
異なります。
デプスインタビューは回答しやすい話題(事実確認)から始まることが多く、そこからだんだんと本題のより詳細な部分へとインタビューを進めていきます。デプスインタビューは特殊なタイプの会話であり、多くの場合、質問項目やインタビューの流れだけを決めておく半構造化された質問で構成されており、対象者の話す内容に沿って、
調査項目に対してプローブを繰り返していきます。
上記のプロセスによって調査課題の対象者の深層心理・ある行動や態度を形成するに至った原因となる経験を
明らかにしていきます。
■デプスインタビューで見極められること
デプスインタビューはインタビュアー自身が観測器となるため、
インタビューの成功可否がインタビュアーのスキル、対象者とのラポール形成が出来ているか等に左右されます。
インタビュアーに求められること、インタビュアーの見極め方について、詳細は以下の記事を参照してください。
□良いインタビュアーの見分け方
インタビューを実施する中で感じたことは(一例となりますが)評定尺度法についてアンケートで用いるのと、
インタビューの中で用いるのとではその意味合いが違うのではないかということです。
インタビューの中で評定尺度法を用いる場合、評価そのものよりも、自然に評価の理由を伺うためのプロセスを
担う役割が大きいのではないかと感じました。また評定尺度法には回答が『どちらでもない』等のいわゆる真ん中に集まりやすいという中心化傾向がありますがインタビューの中で伺うことで、例えば、「この対象者の『どちらでもない』はポジティブ寄りの『どちらでもない』である」ということが明確に分かると感じました。
インタビューは定量調査と違い対象者の態度・行動の背景の質的構造の理解を目的としているため、
このような差異が生じるのかなと感じております。
■最後に
最後になりますが、今回ブログを執筆するにあたってデプスインタビューについてお話させて頂こうと考えた理由は私自身が調査の手法に対して興味があるからです。
調査の手法は調査の目的課題が設定された時にそれに対して適切なものが選ばれますが、手法の適切さを理解した上で選択しなければ、調査の結果についての妥当性や再現性を担保出来ないと考えております。その時に調査の手法に対して網羅的に、詳細に知っていなければその選択もできないのかなと感じています。
私自身今後も調査手法の適切さ・メリットについて考えながら業務に取り組んでいきたいと思います。
長い文章となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。