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リサーチ 2021.10.1

「評定尺度法」を使う際にお客様からよくご質問いただくこと

弊社ではこれまでに様々なCS調査に携わらせていただいていますが、
アンケートの中での商品、サービス、スタッフの方の満足度を聴取する際に「評定尺度法」をよく使っています。

今回は評定尺度法を使う際にお客様からよくご質問いただくことについて、
お話をしたいと思います。

評定尺度法とは、あらかじめ設定した評価段階の中から、あてはまるものを選択してもらう方法で、
「1.非常に満足」,「2.やや満足」,[3.どちらともいえない」,「4.やや不満」,「5.非常に不満」
のような5段階評価を使うことが多いですが、3段階、4段階、7段階、9段階、11段階など状況に合わせて使い分けています。

よくご担当の方から質問いただくこととして、以下の3つがあります。

①ニュートラルの評価(非強制選択尺度)を入れたほうがいいか
「1.非常に満足」,「2.やや満足」,[3.どちらともいえない」,「4.やや不満」,「5.非常に不満」
といったように、中立点に選択肢を設ける尺度を強制選択尺度、一方で中立点を設けない方法を非強制選択尺度といいます。

回答される対象者がどんな事柄にも評価を下す情報を持ち合わせているわけではないので、
中立点に判断を保留する選択肢をいれた非強制選択尺度を用いることが多いです。

ただ、中立点を入れる際のデメリットもあります。
「どちらともいえない」を選択した人の中には、中立的という意味合いだけでなく、よくわからないから「どちらともいえない」を選んだなど、回答者の意図がさまざまであるために、回答結果に影響をもたらしてしまう可能性もあります。

中立的尺度には良い点、悪い点があれ、必ず入れたほうが良い、良くないという決まりはありません。白黒はっきりとしたとした結果が欲しい場合、「どちらともいえない」は入れないほうが望ましく、回答のしやすさなどに重きをおく場合は「どちらともいえない」を入れるほうが望ましいと思います。

②カテゴリーの数を何段階にするのがいいか
対象者の年齢が低い場合などには、2段階、3段階など回答がしやすいように少ない段階で評価をしてもらうことをお勧めすることはありますが、
私は普段実施している調査では、中立点に選択肢を設ける非強制選択尺度の場合だと、5段階評価がお勧めすることが多いです。

5段階が効果的に区分するために必要とされる最小のものであり、7段階以上は尺度は正確になる一方で、混乱なく確実に対象者に読んで回答してもらうが難しいともいわれているからです。

ただ適切な段階数というのは、リサーチャーでも意見が割れるのが実際で、絶対にこれが正解といったことはないので、データの精度や回答者の属性、設問量や回答難易度による負担感などを元に決めるのがいいかと思います。

③カテゴリーの段階が異なるものを比較できるか(時系列データ)
べンチマーク調査など、同一設問を時系列で聴取しているデータについて、担当の変更や他の調査と合わせる為に、といった理由から、評定尺度法の表現の変更やカテゴリーの数を変更したい、また変更した場合に過去データと比較することができるかといった相談を受けることがあります。

【評定尺度法の表現の変更した場合、例えば「1.非常に満足」を「1.満足」などに変更した場合】

仮に同じ5段階でも表現が異なるため、回答者の解釈も異なってしまい、結果として評価が大きく変わってしまい最終的に時系列の変化なのか、表現を変更の影響なのかが、わからなくなってしまいます。変更する場合に過去のデータとの比較することを重視する場合は、比較ができない(参考程度)となってしまうこともあり、お勧めしません。

【カテゴリー数を変更した場合、例えば7段階でといったものを5段階に減らした場合】

7段階の1~3が満足の人、5段階の1~2が満足の人として、一見比較できそうに思いますが、こちらについても、段階数が変わると回答者の解釈が異なってしまい、最終的に時系列の変化なのか、カテゴリー数の変更の影響なのかがわからなくなってしまうことが多いです。

決して、途中で表現やカテゴリー数を変更してはいけないということではないですが、変更する場合は、過去のデータとの比較がうまくできなくなる可能があることを考慮した上で、変更することをお勧めします。

この記事を書いた人

飯島 稔

飯島 稔

マーケティングリサーチに携わって20年弱。 担当経験業界は不動産、トイレタリー、食品、放送局、自動車など様々。 クライアントのマーケティング部門に出向経験を持ち、リサーチだけでなく企業内、社外のあらゆる情報を駆使してマーケティング施策に活かす「マーケティング情報デザイン」のコンサルティングを担当。 現在は、アドホック・リサーチの企画・集計・解析・分析を担当し、ソーシャル・メディア情報活用の研究も進めている。

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